うつ病の治療法について
うつ病の診断を受け医療機関の通院を通して治療を行うことになります。
現在までにいくつかうつ病の治療法が確立されています。
その代表的な治療法を今回は三つ紹介したいと思います。
1.薬物治療
一つ目は薬物治療です。
基本的に通院して自分の症状に合ったお薬を医師から処方してもらい、家で安静にするというごく一般的な治療法です。
現在では、抗うつ薬の種類も豊富にあります。
そのため、自分に合うお薬を主治医と話し合いながら決めていく形になります。
抗うつ薬に関しては以前に、服用時の注意点と副作用について記述いたしましたので、そちらをご参照ください。
ちなみに、現在主流となっている治療法はこの薬物療法です。
「心の病だから心理的なカウンセリングを受けたりするのでは?」という印象をお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが、基本的には内科とかと同様にお薬によって治します。
大半の方は薬物療法で十分に社会に復帰できるようになります。
2.心理療法
次に心理療法についてご紹介いたします。
心理療法とは、臨床心理学の知見に基づいた治療法のことで、昔で言えば行動療法とかカウンセリングに近いものがこの心理療法に入ります。
ただし、現在病院で行われていて、かつ保険適用されている心理療法は一つしかありません。
それが、「認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)」と呼ばれるものです。
認知行動療法は、簡単に言えば、物事の認識の仕方を変える療法です。
わかりやすい認知行動療法の一つとして、ネガティブなことを考えたり、ネガティブなことに直面したら、別の物に視線を移して心を落ち着かせるというような方法もあります。
このように、自分が直面したものに対する対処法を変えるのが認知行動療法の基本です。
認知行動療法は現在では、医学上うつ病にとても効果があることが実証されています。
また、重篤な患者さんにも有効であることを示した研究を最近私は目にしました。
認知行動療法に関しては、書籍がたくさんでておりますので気になった方はご自分で知ることもよいと思います。
知ることはとても大事ですが、自分一人で独断で行うと効果が期待できない可能性が高いですので、行いたい場合は簡単な身近にすぐできるものに限定するか、専門家の指導の下で行ってください。
認知行動療法は、患者への負担が少しあります。
心理療法を始めるにあたっては初めに、「心理教育」といって、自分の現状把握と心理療法の内容を理解することから始まります。
心理教育を終えてから、自分に合った認知行動療法の手法のいくつかを組み合わせて、病気の治療を行います。
中には宿題があったりしますのでお医者さんと相談して進めてください。
3.電気けいれん療法
最後に、外科的処置に近い電気けいれん療法についてお話しします。
この治療法は基本的には、薬物療法と心理療法を行っても治る見込みがない患者さんや、日常生活もままならない非常に重篤な患者さんに行われる療法です。
具体的には、頭に電極を二つ着けて軽い電気ショックを与える療法です。
昔からある療法で、効果も実証されていますが、個人的には正直あまりお勧めはできません。
というのも、電気けいれん療法には全身麻酔をする必要があり、それを週に数回行い、何週間か続けないといけないからです。
体への負担が多きく、実施機関が限られています。
また、私の医師からの情報では、電気けいれん療法は確かに効果は高いが、予後が芳しくなく、療法以前よりも悪くなる患者さんが出る可能性もあるとのことです。
そのため、最終手段として知っておく程度でいいと思います。
一日でも早くうつ病を克服するために
以上が、現在日本で行えるうつ病の治療法です。
基本は薬物治療で長期間をかけてゆっくり治すことです。
また、心理療法も、数か月(研究では三か月)続けてやっと効果がでます。
一番は、ご自宅でお薬を飲んで安静にすることです。
社会人だとどうしても将来のことを心配して、焦ってなかなか治療に集中できない方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、焦って病気の治療を先延ばしにするよりも、今後長期間で考えれば、今治療に集中して安静にするのが一番だと思います。
一日でも早くうつ病を克服するためにも今回は治療法のご紹介をいたしました。