両親が倒れ、仕事を辞め
わたしがうつを発症したきっかけは、両親の病気でした。
はじめに母が末期の肺がんで倒れ、4年後に父が脳腫瘍で倒れたため、仕事を辞め、実家に帰った時のことでした。
以前から、仕事中に電話が取れなくなったり、震えたり、コミュニケーションがうまく取れないということがあったのですが、仕事を辞めたことで、それが改善されるわけでなく、「死にたい」「消えたい」という気持ちが強くなっていったのです。
両親が病気と闘っているのに、そういう感情に襲われる自分の心が抱えきれなくなり、姉に付き添ってもらい、心療内科を受診しました。
そこでははじめ、「社会不安障害」と診断されました。
「社会不安障害」
主な治療は抗不安薬の処方でしたが、集団認知行動療法にも1度参加しました。
そこでは同じ社会不安障害の方々、うつ患者の方々とのディスカッションや、人前で話すことへの恐怖心と向き合うなどの訓練を行いました。
まずそこで、自分と同じような悩みを抱えている人がいること、彼らは主婦の方であったり、一般企業で働いている方であったりと、一見なんの不自由もなく生きているように見えたのですが(おそらく自分も発症前は普通に働いていたのでそう見えたでしょう)、心に大きな不安を抱えており、それがだれにも理解されないことで苦しんでいるということ、そして、決まって自己評価があまりにも低いということがわかりました。
根っからの真面目さと、自己肯定感の低さゆえに自分を許せなくなり、人からどう見られているかをひどく気にしてしまうのです。
本当は、誰も自分のことなんてそう見てはいないのに…。
転職
それがわかっただけでも、私にはすこし落ち着きが生まれ、転職に向けての勉強をはじめることができました。
1年後、父が死去し、介護の必要がなくなったことから(母は回復し、存命です)、資格を取り、別の会社へ派遣社員として就職したのですが、そこでもまた電話や接客などのコミュニケーションがうまくいかず、わたしのスキルも会社の求めるレベルに達していなかったことから、半年で契約打ち切りとなりました。
その後、今度は電車に乗るのが怖くなり、人前で食事することもできなくなりました。
別のクリニックの心療内科を受診し、そちらでうつも併発しているという診断を受け、パニック障害になる恐れもあるため、休職を勧められました。
1度目の症状と明らかに違ったのは、死にとりつかれてしまうのではなく、また同じことを繰り返してしまうのではないかという、「上手く生きられない」苦しさによるストレスが原因でした。
自分の個性の一つ
現在はカウンセリングを受けながら、無理のない就職、もしくは在宅でも可能な仕事ができるようになることを目指しています。
前向きになったように見えるかもしれませんが、不意に死にたくなることもままあります。
でもそれは、生きたいという気持ちの裏返しなのだと思います。
うつは簡単に克服できるものではありませんが、それも自分の個性の一つなのだと受け止めて、これからも付き合っていきたいと思っています。