まったくやる気が起きない、無気力状態
私がうつになったのは、大学4年生の春休みです。
就職も決まり、一人暮らしをしていた家も引き払い、社会人になるまでの数か月は実家に戻っていました。
当時、両親が離婚問題で揉めており、毎日その光景を目の当たりにしていたことや、4月からの就職先が希望の配属先にならなかったことが非常にショックで、この2つが主な原因でうつになってしまいました。
私の場合、主に下記の症状が出ました。
①まったくやる気が起きない、無気力状態
②朝ベッドから起き上がれない
③感情の起伏(動き)がなくなる
不眠や食欲不振の症状は出なかったものの、あまりのだるさと無気力感で「この世にいても仕方ないじゃないか」と思うほど、毎日がとても長く感じられ、生きる意味が見いだせなくなりました。
3種類の抗精神薬
数週間たち、心療内科を受診することにしました。
主な症状を話すと、軽度のうつと診断され、3種類の抗精神薬を処方いただいただけで、じっくりと話を聞いてもらえるような場所ではありませんでした。
帰宅し、初めて薬を飲んだのですが、その晩、副作用から不眠となってしまいました。
興奮する作用のある薬が含まれていたので、睡眠薬も処方されており、一緒に飲んだものの、私には抗うつ剤のほうが強く効いてしまったようでした。
そこから、飲むことが怖くなり、飲むのをやめました。
東日本大震災
当時私が唯一行っていたのは、ブログを書くことでした。
正直に今の気持ちを吐き出して、気が楽になれば、と思っていました。
あとから考えると、書くことは思考を整理することにもつながるのでよかったのではないかと思います。
また、当時、私がうつ状態から回復するきっかけとなった、大きな出来事がありました。
それは3.11の東日本大震災です。
私の地元は九州で、東北から遠く離れていましたが、連日震災のニュースをテレビで見て、関東~東北に住んでいる友達や親せきのことが心配でたまりませんでした。
正直、4月からの配属先や、両親の離婚問題どころではないほど、胸が締め付けられる思いでした。
そのときに私は、他人と比べるのはよくないのですが、「今家があり、布団で眠れて、温かいご飯を食べられる幸せ」を、心の底からかみしめることとなりました。
被災地で避難生活をしている方の悲痛な声を聞くたびに、「私は生きている。幸せじゃないか。」と思わされ、だんだんと気持ちが落ち着き、無気力から脱していきました。
「今ある幸せを感じること」
急にというわけではなく、徐々に、「あ、ちょっと買い物に行きたいな」とか、「外の空気を吸いたいな」と感じることが多くなりました。
私のように、なにかのニュースがきっかけになる方もいれば、ただただ時間が解決してくれる方もいると思いますし、うつ状態から抜け出すには、人によってさまざまな解決方法があると思います。
ですが、私がこの経験で強く実感したのは、「今ある幸せを感じること」の大切さでした。
当たり前の日々の暮らしの中に転がっている、小さな幸せをひとつでも見つけていくことができれば、それが積み重なって、「ああ、私って幸せだった」と気づくことができ、やがて気分も晴れていくと思っています。
「今日はできたてのお米を食べた」ですとか、「布団干してポカポカ気持ちいいい」ですとか、なんでも構いません。
少しでも「今ある幸せ」を感じていただければ、状況はよくなっていくと私は思っています。