ある日突然やってくる
鬱はある日突然やってきます。
しかも自分では気が付かない間に忍び寄ってくるのです。
私の場合、第三者から「変だよ?」と指摘されたのがきっかけでした。
それまで鬱なんて他人事でした。
昔は鬱病なんて患う人は、珍しかったように記憶しています。
確かにテレビの芸能人にも、鬱病を発症する人が増えたと週刊誌などでよく見かけます。
鬱はここ何年かで激増しています。
そんな鬱病に、まさか自分がなるなんて信じられませんでした。
ここでは私自身が経験した、鬱病による辛さや、また逆に鬱病のおかげで、人の心のありがたさを知った経験を書かせて頂きます。
異変に気が付いたのは彼女でした
ちょっとしたことでイライラする、テレビの芸能人に腹が立つ、その内テレビ自体を見なくなっていました。
それどころか、何をするにも億劫になるなど、自分の異変に気が付いたのは彼女でした。
「いつもと何か違うよ…」と。
この一言に、最初私は彼女に食って掛かりました。
何故なんだ!私はいつもと変わらないのに。
でも今先述した症状は、日増しに酷くなっていきました。
さすがにこの頃になると、自分でも何かおかしいと思い始めていました。
彼女に謝罪し、私はメンタルクリニックへ行くことにしました。
その診断結果は、初期の鬱病でした。
「元気の出る胃薬」!?
医師に抗うつ薬を処方され、同時に元気の出る胃薬なるものを出されました。
「え!?」と少し疑心暗鬼に駆られました。
夕食後、もらった薬を飲み、眠ることにしました。
私は不眠症ではなく、逆に寝ても寝ても眠いという症状が出ていました。
あくる日、何ということでしょう。
朝の目覚めがいつもと違い、スッキリしているではありませんか。
あまりにてきめんに薬が効いたので驚きでした。
それに、嘘のようにイラつきもなく、食欲も旺盛になりました。
幸か不幸か、体重がかなり増えてしまい、おデブちゃんになってしまいました。
薬が効くのはいいのですが、その引き換えに太ってしまうのは誤算でした。
しかし、気分的にかなり落ち着きが出てきて、何をするにも意欲的になりました。
相手を鼓舞する言葉は厳禁
鬱は、障がい者手帳の申請が出来ます。
私は、審査の結果、3級でした。
今は、薬も二分の一に減りました。
にもかかわらず、症状は今のところ安定しています。
それもこれも、最初に私の異変を察知してくれた、彼女のおかげだと大変感謝しています。
この間、私は鬱病関係の書籍を読み漁りました。
鬱を患っている人への接し方や、「頑張れや!」、「元気を出してよ!」など、相手を鼓舞する言葉は厳禁だということなど、様々な新発見がありました。
家族、愛するパートナー、そして理解
やはり鬱病は、家族や、愛するパートナーの存在と、理解抜きには語ることは出来ません。
世間の人たち全てに、鬱という病を分かってほしいと思っても、それはハッキリ言って無理です。
二人三脚で寄り添ってくれる人が、たった一人でも、鬱病患者は救われるのです。
鬱病は、怠け者ではありません。
辛い病気なのです。
現代のようなせかせかした世の中では、益々鬱病になる人は増えてくるような気がします。
病院に行くと、そういった方が老若男女関係なくひっきりなしに訪れています。
鬱は、他人事ではありません。
いざという時、大きな力となる一番近い人と、お互いに思いやりを持って絆を深めることが、何よりも大事なことではないのでしょうか。